宵越しの電子マニーは持たない

もうダメなの、オートチャージしないで。

エヴァンゲリオンの続編は、いらない。――『シン・ゴジラ』感想

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電車がふっとばされ、車輪の部分だけが車道をコロコロコロ・・・と転がるシーンの次のカット、高台に避難した住民の一番手前にいる女の子がめちゃくちゃかわいくて印象的な映画『シン・ゴジラ』を観てきました(ネタバレ)

これだけ話題になっても重い腰を上げようとしない人はきっと何を言っても無駄だろうし、もうネタバレありとかなしとか言ってる場合じゃないし、ネタバレしないように丁寧に丁寧に感想をつづるようなお上品な映画じゃないので、感じたことを忌憚なく書いてみようと思います。

まずは、上映直後のつぶやきでだいたい言いたいこと言えているので貼っておきます。

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IMAXで3回観た『シン・ゴジラ』

意図的ではなかったけれど、結果的に3回観ました。

TOHOシネマズ新宿→成田HUMAXシネマズ→TOHOシネマズ新宿

自分は何度も行くつもりはなかったんですが、なんか面白そうだから連れてけ!と友人に言われ、それに付き合う形に。

その友人も普段からそれほど積極的に映画館に行くタイプではないので『シン・ゴジラ』注目度には驚きました。ネット上の盛り上がりが現実に与える影響がどんどん大きくなってきてるのを感じます。

ところで、IMAXの聖地とも言われている成田HUMAXシネマズなんですけど、すごくがっかりする劇場でした。

今年の1月に109シネマズ大阪エキスポシティに行ったことや、直前に新宿のIMAXで『シン・ゴジラ』を観たからかもしれませんが、とってもがっかりしました。

スクリーンサイズも思ったほど大きくないし、横長のスクリーンはいわゆる "LieMAX" そのものですし、売店のスタッフの対応もあまりよろしくなく、都内から車で1時間以上かけていったのですが、正直、成田にはもう行かないですね。

その一方、エキスポシティ原理主義者になりかけていた僕にとって、TOHO シネマズ新宿のスクリーンサイズや、スクリーンと客席との距離感は衝撃的でした。

もちろん、エキスポシティは設備面で今のところ国内最強であることは間違いなのですが、IMAXフィルムで撮られた映画を観にわざわざ大阪に行かなくても、新宿で十分に楽しめると感じました。

しかもしかも、池袋に次世代規格であり、エキスポシティにも導入されている "IMAX with LASER" が導入されることも決まったようですし、IMAXを観にわざわざ成田に行く理由はもうないと断言できます。

av.watch.impress.co.jp

『シン・ゴジラ』はIMAXで観るべき映画か?

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岡田斗司夫は「IMAXで観なくてもいいから、その辺の映画館でちゃっと観たほうがいい」なんて言ってましたが、確かにそうである部分もあるけれど、一概に賛成できない意見でもあります。

というのも、新宿で観た『シン・ゴジラ』と、成田で観た『シン・ゴジラ』は、全然印象が違ったからです。

僕は、TOHOシネマズ新宿→成田HUMAXシネマズ→TOHOシネマズ新宿という順番で観たこともあって、劇場による印象の違いを大きく感じることになりました。

もちろん、シン・ゴジラはIMAXフィルムで撮られた映画ではないので、なにがなんでもIMAXで観なくてはいけないというわけではないのですが、『ゴジラ』という題材を扱う以上、画面はでかいほうがいいし、音も迫力があったほうがいいのは間違いありません。

正直、2回目を成田で観たときは初回ほどの興奮はなく、「シン・ゴジラ、こんなもんだっけ?」と感じました。

しかし、新宿で観た3回目は2時間があっという間に過ぎ、めちゃくちゃ楽しかったのです。

なぜだかIMAX版の『シン・ゴジラ』は8月10日までという超限定上映のため、今となってはもう観れないのですが、これだけ話題になればリバイバル上映もあると思います。

もし可能であれば、IMAX版にかかわらずなるべくスクリーンサイズの大きい劇場でみるか、立川シネマシティのような「爆音上映」している映画館で観たほうが何倍も楽しめることは間違いないと思います。

(8月18日追記)IMAXでの再上映が決まったようです!!!

av.watch.impress.co.jp

IMAX版『シン・ゴジラ』の再上映を行う映画館

東京都 TOHOシネマズ新宿
東京都 T・ジョイ PRINCE 品川
東京都 109シネマズ木場
東京都 UCとしまえん
東京都 109シネマズ二子玉川
神奈川県 横浜ブルク13
神奈川県 109シネマズ川崎
神奈川県 109シネマズ湘南
千葉県 成田HUMAXシネマズ
埼玉県 UC浦和
埼玉県 109シネマズ菖蒲
茨城県 シネマサンシャイン土浦
宮城県 TOHOシネマズ仙台
大阪府 109シネマズ大阪エキスポシティ
大阪府 UC岸和田
京都府 TOHOシネマズ二条
奈良県 シネマサンシャイン大和郡山
広島県 エーガル8シネマズ
愛媛県 シネマサンシャイン衣山
福岡県 UCキャナルシティ13
愛知県 109シネマズ名古屋
愛知県 イオンシネマ大高
愛知県 UC豊橋18
北海道 UC札幌

「シン・ゴジラ」IMAXでの再上映決定。TOHOシネマズ新宿などで8月25日から順次 - AV Watch

IMAXの大画面で、迫力あるゴジラをぜひ観に行ってください!
都内の方はとりあえず「TOHOシネマズ新宿」で観れば間違いないと思います。

TOHOシネマズ新宿の場合、平日深夜の回でも結構すぐにいい席が埋まってしまうので、ネット予約開始日をチェックして余裕をもって席を確保されたほうがいいと思います。

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結局のところ、僕らは庵野監督の作家性にしびれている

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『シン・ゴジラ』を観て、本当に心から思ったこと、それは庵野監督はもうエヴァンゲリオンの続編を作らなくていいということです。

確かに『シン・ゴジラ』には、エヴァンゲリオンを彷彿とさせる演出が様々な場面で使われているのですが、そんなことよりも強く感じたのが庵野監督の作家性です。

明確な作家性を持つクリエイターはとてもかっこいいですし、それが一番わかりやすく輝くのが映画という表現方法だと思います。

誰と言われなくて、その映像を観ただけで「あ、これはあの監督の作品だ」とわかってしまうほどの強い個性とインパクト。

それこそがクリエイターとして、一番大事なことだと思うのです。

僕が『シン・ゴジラ』を観て一番嬉しかったのは、庵野監督の作家性が至る所に溢れ出ていたからなのです。

わかりやすいところで言えば、印象的な明朝体のフォントやアニメーションのような短いカットシーンの連続。

絶望的な破壊シーンの直後の、さわやかな音楽と都市の映像。

会議室を対策本部にするために、椅子やコピー機を動かすシーンがあるんですが、あのたった数秒のシーンがなぜかめちゃくちゃかっこよかったり・・・。

エヴァンゲリオンは、そのストーリーや様々な解釈を生んだラストシーンに注目されがちですが、庵野監督らしい映像表現にあふれた作品であり、そこが多くの人の心を動かした力の根源だったんだと改めて感じました。

(それ以外の庵野監督らしいシーンで『シン・ゴジラ』になかったものといえば、お色気カットくらいですね・・・笑)

その一方で、このような素晴らしい映像表現をできる人が、一度は終わった作品である『エヴァンゲリオン』に貴重な「創造的人生の持ち時間」を使ってしまうのは非常にもったいないと感じました。

そして、『シン・ゴジラ』を観て改めて感じたことですが、2011年以降の日本において、いくら素晴らしい作品であっても、エヴァンゲリオンのような題材はお伽噺にしかならないと感じるのです。

庵野監督には素晴らしい映画の才能があり、その作家性は、黒澤明監督や北野武監督、スタンリー・キューブリック監督のような強い個性と普遍性を持っていると実感しました。

どうかどうか、庵野監督に「エヴァンゲリオンはもういい、好きな題材で日本映画撮ろうよ」って言ってあげてほしいなと強く願います。

今週のお題「映画の夏」

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

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シン・ゴジラ音楽集

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